White Lovers

白い世界に魅せられた社会人(記憶力低め)

ふたつめの庭

 今回はかなりハイペースで読み終わった。

ふたつめの庭 (新潮文庫)

ふたつめの庭 (新潮文庫)

 

 

完全に表紙買い。

お話は、湘南方面にある「かえで保育園」が舞台。

主人公の小川美南は25歳保育士。

年中クラスの担任。

クラスには離婚をし、息子・旬太を引き取ったシングルファザー・隆平がいる。

クラスには他にも、夫の浮気で離婚をしシングルマザーとして息子・理斗を育てるマリ子や、18歳高校3年生で妊娠し当時付き合っていた人に結婚も認知すらもしてもらえず、正真正銘女手一つ娘・ひかりを育てるなどたくさんの事情を持った家族がいる。

毎日起こるたくさんの問題を、美南は保育士として一生懸命解決する。

何かが起こるたび、隆平は美南を手助けをする。

そんな隆平に、美南はいつしか心を惹かれるようになる。

 

友人に保育士をしている人がいて、仕事の話をよく聞くので、

なんとなく子供たちの行動とか言動とか「ああ、実際にもこういう子いるんだよな」と

納得できるような内容が良く出ていて面白い。

また、湘南付近のお話でモノレールや海岸の風景など

自然にあふれた情景が想像できるのも、

お話に合う穏やかな空気が表現されていて好きだ。

 

美南が、自分が受け持つ子供の父親に惹かれるのは

ちょっぴり現実離れしている感じもあるが(笑)

でも、好きだから一直線とかそういうのではなく、

あくまで保護者と保育士。

気づいたらちょっとづつ距離が縮まっていて、

いつの間にかそれ以上の感情があった。

そういう始まりの恋は憧れなので、単純に羨ましかった。

保育士として、子供優先で考えられる美南だからこそ

隆平ときっと上手く行くだろう。

そして、大人の空気の変化に敏感な旬太もまた美南を「先生以上」に自然と受け入れることができている卒園式の時の表現がとても心温まった。

やっぱり子供ってどこまでも大人だと思う。